ものづくり王国?愛知

本多電子株式会社

超音波技術のスペシャリスト集団

■魚群探知機から多角化へ

本社外観

魚群探知機をはじめとする海洋機器を販売する会社で、機器のメンテナンスなどを担当していた本多敬介さん(本多電子の創業者)は、27歳のときに「もっといいものを自分でつくりたい」という思いから会社を起こし、その年の12月には世界初となるトランジスタポータブル魚群探知機を開発した。

当時の魚群探知機は、真空管を利用した大型でかなりの重量のものしかなかったが、それに比べて、開発した魚群探知機は小型?軽量(従来品の約半分)で生産コストも抑えられた画期的なものであった。この小型魚群探知機は、毎年のように改良が加えられ、それとともに性能が高く評価されて順調に売上を伸ばしていった。

さらに、昭和40年代後半には、アメリカへの輸出を積極的に進めていき、レジャーフィッシング用として大ヒット、まさに飛ぶように売れるようになった。最盛期には、アメリカ市場において小型魚群探知機分野で約60%のシェアを獲得したという。

しかし、昭和60年のプラザ合意の後、急激な円高が進んだことで、すでに収益の80%を輸出に頼っていた本多電子は利益が圧迫され、方向転換を迫られてしまう。父である敬介さんの意向によって、本多洋介さんが社長に就任したのは、そんな会社の転換期というべき時期だった。

魚群探知機一本での経営を見直し、今後どういう展開をすべきか。本多電子は、独立した立場での研究開発型企業であり続けることにこだわり、大企業とも対等に渡り合っていける「これだけは誰にも負けない」という武器を模索し、その結果、やはり超音波技術を軸とした多角化を進めていくべきという結論に至る。

超音波──。いったいこの不思議な音の正体は何なのか。また、超音波は魚群探知機以外にも、いろいろな用途があるのではないか。魚群探知機の専業メーカーとしてスタートした本多電子は、こうした問いかけをもとに、その後、超音波を利用した新たな製品の開発に挑戦していくことになる。

■超音波とは?

人間の声や音楽の音は、空気が膨張したり、圧縮したりして伝わる波動である。そのため、真空中では音は伝わらない。簡単に言ってしまえば、普段の生活の中で聞く音は空気の振動で、その振動回数をヘルツ(Hz)という単位で表す。

人間の耳で聞こえる音は、約20ヘルツから2万ヘルツの範囲といわれている。ということは、20ヘルツ以下と2万ヘルツ以上の音は、存在はしていても人間の耳では聞くことができない。そして、その人間には聞くことができない音を超音波と呼び、超音波は固体、液体、気体の順でより早くより遠くへと伝搬するという性質がある。

魚群探知機

魚群探知機は、イルカが頭部からクリック音と呼ばれる超音波を放射し、その反射音が戻ってくる時間と方向によってエサや障害物を探知したり、仲間とコミュニケーションをとるのと同じ仕組みでできている。イルカがクリック音を出すかわりに、魚群探知機はセラミックスの振動子が超音波を発信し、その超音波が水中の魚群や水底に当たって反射したものを、再び振動子によって受信する。

魚群探知機の性能のカギを握るのは超音波を送受信する振動子で、それは圧電セラミックスという素材でできている。圧電性とは、物体に電圧を加えると伸び縮みし、逆に物体に力を加えて伸縮させるとその両端に電圧を生じる性質をいう。圧電セラミックスは、そのような電気エネルギーと機械エネルギーを変換する働きをもっている不思議な焼物なのである。

交流電流を加えると、圧電セラミックスの厚みは伸縮を繰り返して、その表面がスピーカーのようにピストン振動をして海中に超音波を放射し、その後、魚群などに反射した超音波を圧電セラミックスが受信して、その強度や伝搬時間などから対象物に関する情報を得ることができる。

つまり、超音波のスピーカーとマイクの役割をしているものが圧電セラミックスと考えればいい。
また、こうした超音波を出す圧電セラミックスは、魚群探知機以外にもいろいろな分野へ応用できることがわかってきた。たとえば、お腹の中の赤ちゃんの状態を調べたりする医療診断装置や、物質の中の見えない傷を探索する装置のほか、超音波の振動そのものを利用した洗浄機などである。

ただし、本多電子にとって、そうした超音波の可能性を追究するためには、圧電セラミックスの内製化という課題を乗り越えなければならなかった。

■圧電セラミックスの内製化に踏み切る

本多電子は魚群探知機の専業メーカーから、超音波技術を軸とした多角化を進めていくため、昭和55年、新たにセラミックス工場を建設し、超音波技術のキーテクノロジーである圧電セラミックスを自分たちでつくることに踏み切る。それまでは、大手メーカーから圧電セラミックスを仕入れていたため、自分たちがほしい性能や形状を細かく注文することはできなかった。それを自社で開発?製造すれば、より精度の高い製品をつくることができるからだ。

圧電セラミックス

しかし、セラミックスに関しては素人集団である本多電子が、納得のいく圧電セラミックスができるようになるまでには何年もの時間が必要だった。圧電セラミックスは高温で焼成しなければならないが、当時はまだ未確立の部分が多く、また、温度や気候などによってその特性は微妙に変化するため、基礎文献どおりにやれば、目指す機能を備えたセラミックスができあがるという単純なものではなかったからだ。

文献を頼りに作業を進めても、炉を開けるたびにセラミックスは割れてしまうことが続いた。まさに、セラミックス原料の粉にまみれながら、失敗を重ねて、その原因を探るなかで一つひとつ技術を確立していったのである。

大学の研究室に通いながら技術を学んだり、そのような試作を繰り返すなどの試行錯誤を続け、ようやく満足のできる製品ができるようになったのは、工場が稼働し始めて4、5年後のことだった。本多さんは、「失敗から学び、忍耐強い実践活動を継続したことから、本多電子独自の圧電セラミックス技術は構築された」と話す。

この圧電セラミックスの内製化によって、本多電子は他社では真似することができない超音波に特化したビジネス基盤を確立したのである。

超音波技術がこんなところに利用されている、または、利用できるという、たくさんの事例が掲載された本多電子のカタログがある。それを見ると、いかに超音波の利用範囲が幅広いかがわかる。
たとえば、各種洗浄装置、加湿器、加工機、医療用診断装置、超音波を利用したモーター…などなど。
現在、本多電子は、120名の社員のうち約50名の研究者や技術者がいて、彼らはそれぞれに新しいテーマを持って開発にあたっている。

社長の本多洋介さんは「超音波医療診断装置のような複合的な技術が必要なものはチームを組むが、基本的に、開発のある部分だけを担うのではなく、最初から最後まで一人の技術者が責任をもって取り組みます。だからこそ、開発が完成したときの達成感、喜びは大きい」と話し、社長の仕事は社員が研究に没頭できる環境を整えることだと強調する。

また、同社は大学の研究室と共同または協力して研究開発を進めているものがたくさんある。トータルでは50校、常時協力関係にある大学は20校にものぼる。「決して金銭面の損得勘定だけで大学と協力関係を持っているわけではありません。技術者にとって重要なのは、いかに興味のある新しいテーマであるかどうかです」と本多さんは言う。

■誰にも真似できない技術の確立めざす

研究開発型の企業として継続的に利益を上げるための戦略について、本多さんは次の2つをポイントに挙げた。

社長の本多洋介さん

まず一つは、専業特化。それは超音波技術に事業を集中し、それ以外の分野は外部に任せることを意味する。

「超音波だけはどこにも負けないという技術を確立し、それに事業を特化することが大切です。たとえば、ある装置の中にうちの超音波技術が採用されていれば、本多電子という企業名が全面に出なくてもいい。それよりも、圧電セラミックスの開発?生産によって、超音波技術のブランドを確立したいという思いがあります」と本多さん。

もう一つは、情報発信。現在、本多電子では売上の8~10%を研究開発費に充てている。その次に多いのが、展示会や学会などでの情報発信に関する費用だという。超音波技術に専業特化することは、おのずと他社や大学の研究者との協力が不可欠なため、その前提として、まず本多電子という会社の技術を広くPRする情報発信が経営の大きな柱となるわけだ。

「効率的に利益を上げようとすれば、ほかのやり方はいっぱいある。しかし、私たちが超音波技術を軸とした研究開発型の企業として努力しているのは、楽しくて面白いからというのが基本にあります」と本多さんは言う。

さらに「近い将来、超音波は環境問題、高齢化社会の問題、それとエネルギー問題のいずれも深く関わってくることは断言できます。たとえば、超音波で環境汚染物質を分解したり、超音波でエネルギーを効率的に生産したり、また、正常な細胞かどうかを超音波で短時間に診断することもできる。これから超音波技術の可能性はどんどん広がっていきます。そういう課題に常にチャレンジできる会社になりたい」と抱負を語る。

超音波の面白さを認識して、超音波とともに歩む覚悟から生まれる本多電子の技術が、超音波の可能性をどんどん広げている。それは将来の生活環境を大きく変化させる力を秘めている。

◆愛知ブランド企業 認定番号118
本多電子株式会社
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